家の光協会

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やさい畑

2025年10月秋号

1100円(税込)

2025年9月3日発売

IENOHIKARI

特集

発芽がそろう どっさりとれる
秋まき野菜は“密”が好き

 9月になっても収まらない高温、季節外れの台風や長雨など、年々、秋まき野菜の栽培が困難になっています。気温が低下する秋は、種まきに失敗すると取り返しがつきませんが、じつは種まきの成功率を高める簡単な方法があります。多めに種をまいて、“密に育てる”だけです。野菜同士が助け合って発芽し、共に根を深く張って生育を促し、充実した株が驚くほどどっさりとれるようになります。

【主な内容】
どうして? 密に種をまくと野菜はよく育つ
ニンジン  密にまいて、いっせいに発芽。初期生育を促す 
シュンギク やわらかな株を収穫。残した株で側枝を長期どり
ダイコン  株間を狭めて、そろいのよい株をどっさりとる
カブ    初期生育を促し、大きな株から次々とる
ホウレンソウ 密にまいて根を伸長させ、極甘の株を育てる 
タマネギ   小苗や中苗を密植し、そろいのよい良球をとる
ニンニク  株間を狭め、冬に根を張らせて生育を早める
エンドウ  3本立ちのまま越冬させ、初夏の豊作をねらう

監修/木嶋利男
東京大学農学博士。伝統農法文化研究所代表。栃木県農業試験場生物工学部長などを歴任。自然農法や伝承農法の研究と後継者の育成に携わる。『連作でよく育つ野菜づくり』『驚くほどよく育つ野菜づくりの裏ワザ決定版』(共に家の光協会)など著書多数。


大型連載

糸状菌の力で元気野菜づくり
家庭菜園で菌ちゃん農法

 無農薬・無肥料でも糸状菌の力を生かして、大きくて健康な野菜が収穫できる「菌ちゃん農法」が全国で急速に広がっています。菌ちゃん先生こと吉田俊道さんが、『やさい畑』読者のために考案した2畝の家庭菜園向けモデルでの実践法を紹介します。今回は、定期的な畝のメンテナンス法と、タマネギやエンドウといった越冬野菜の育て方を解説します。

監修/吉田俊道
㈱菌ちゃんふぁーむ代表取締役。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県農業改良普及員を経て1996年に有機農家に。食育推進にも取り組み、NPO「大地といのちの会」理事長を務める。著書に『微生物の力だけで奇跡の野菜づくり 図解でよくわかる菌ちゃん農法』(家の光協会)など。


プランターで循環野菜づくり 

1鉢でもたっぷりとれる
初夏の味覚 エンドウとソラマメ

 エンドウとソラマメは収穫するとすぐに味が落ちてしまうため、とりたてを味わうのがベスト。庭先やベランダで手軽に育てられるプランターと相性抜群です。さらに次々と実がなるため、プランターでもたくさん収穫できるのが魅力です。今回の栽培講座では、プランター栽培の達人、安藤康夫さんに、種まきから鳥害対策まで、プランターならではの育て方のコツを教えてもらいました。
 
栽培指導/安藤康夫
東京都板橋区在住。2006年から自宅の屋上(約35㎡)でプランター栽培を始める。伝統野菜を中心に年間30品目の野菜を育て、自家採種を続けている。著書に『プランターで有機栽培1・2』(農文協)がある。

千重子さんの百品自給暮らし

夏野菜の片づけと冬支度

八ヶ岳と蓼科山を望める標高1000mの高台に、野菜を中心に果樹、ハーブ、花などが所狭しと植えられた有機自給菜園があります。細井さんは、この菜園と周囲の野山からとれたものを生かし、日々の料理はもちろん、お茶、化粧水など100品以上を自給しています。たくさんの野菜の収穫と加工などで大忙しとなる、秋の自給の知恵を紹介します。


細井千重子
1943年長野市生まれ。鯉淵学園の農村生活科で学んだあと、農協の生活指導員に。6年勤務したのち、食の源である土を学ぶため、有機農法研究家の内城本美氏の農場で研修。その後、農協に復職し、自給運動などに取り組む。佐久市の農と食を楽しむグループ「千石の杜」やJAなどで講師を務める。著書に『寒地の自給菜園12カ月』(農文協)がある。

基本がわかる大型連載

有機自給農家
柴田家のやさしい野菜づくり

有機農業のメッカとして名高い茨城県の八郷地区に夫婦で新規就農した柴田農園による栽培講座。季節に合わせた野菜を育て、収穫物でさまざまな加工品をつくる自給生活を送るお二人に有機での野菜の育て方を教えてもらいます。新規就農者だからこそ気づいた栽培のポイントをふんだんに織り交ぜて、わかりやすく、やさしく解説します。

 【今号で紹介する野菜】
●タマネギ ●ニンニク ●ソラマメ ●エンドウ ●ダイコン ●葉物野菜の混植 
●シュンギク ●かき菜 ●カブ

指導/柴田佳幸・柴田美奈
茨城県石岡市で柴田農園を営む。1.2haの畑で年間約70品目の野菜を有機栽培で生産し、契約者に野菜セットとして出荷している。ともに東京都出身。それぞれ石岡市の有機農家で研修後、独立して結婚。現在は、高校生から3歳まで5人の子供たちとセルフビルドした住まいで、できるものはなんでも自分たちで作る自給自足的暮らしを実践している。

農の匠

ブロッコリー栽培の極み技

 野菜ごとに優れた栽培技術を持つ生産者に、栽培の極意を伺います。土づくりから収穫までの技術を深掘りすることに加え、家庭菜園に応用できるワザを紹介。今号は、深谷市で土づくりにこだわって絶品のブロッコリーを育てている武政直夫さんにご登場いただきます。

鴨志田農園のとりたて献立

秋のイモを丸ごと味わう

 秋の味覚を代表する2種類のイモ、サトイモとサツマイモをたっぷりと味わう“イモづくしレシピ”。サトイモはほどよく加熱し、ねっとりとした食感を存分に引き出し、サツマイモは香味を加え甘さをほどよく生かすなど、毎日食べても飽きないレシピの数々を紹介します。

料理指導/鴨志田佑衣
助産師、中医薬膳師。夫・純さんが営む鴨志田農園のSNSを中心に、料理教室などのイベントや雑誌の連載をとおして、野菜をたっぷりと使ったレシピを紹介している。

循環菜園 野菜づくりの新常識

シュンギクの混植実験
コマツナを害虫から守れるか?

 異なる“科”の野菜をいっしょに育てることで、病害虫に発生を防いだり、たがいの生育を高めたりする野菜の組み合わせがあります。とくに独特の香りを持つキク科のシュンギクは、アブラナ科野菜につく害虫を忌避する効果が高いとされます。実際に、シュンギクといっしょに育てると、どれくらい効果があるのでしょうか。アブラナ科野菜のコマツナと混植して、検証してみました。

栽培指導/内田達也
アースケアテイカー。㈱いかす取締役。1976年、東京都生まれ。神奈川県平塚市で8haの有機栽培圃場を運営し、年間40品目の野菜を出荷。持続可能な農業の担い手を増やす「はたけの学校【テラこや】」講師を務める。

イガさんの菜園実験室 

10月4日に“遅まき”しました
もっともハクサイが“巻く”育て方はどれ?

 ハクサイは、種まきの遅れが致命傷になる野菜の代表格ともいえます。寒さが本格化する前に大きな葉を展開させておかないと、締まりのよい球に育ちません。そんなハクサイをあえて10月に“遅まき”してみました。育苗してから植えつけたり、冬にポリトンネルを掛けたりして、まき遅れても結球する育て方がないか検証しました。

栽培指導/五十嵐 透
東京都練馬区の農業体験農園「イガさんの畑」園主。練馬区農業体験農園園主会会員。江戸時代から続く農家に生まれ、平成11年に農業体験農園を開設。現在は約120名の利用者に、年間約20種類の野菜の栽培法をわかりやすく指導している。

自然栽培を成功させる方法 

オクラとのリレーでどっさりとれる
ソラマメの必勝栽培法

 神奈川県愛川町の農園で、年間100品目もの野菜を自然栽培で育てて、出荷している田村吾郎さんによる栽培講座。今号は、ソラマメの栽培法。草や残渣で土をつくる自然栽培の畑は、ソラマメにとって最適な養分状態。さらにオクラとリレー栽培すると、オクラの茎を支柱代わりに使え、地中ではオクラの根穴を利用してソラマメが効率よく養水分を吸収するため、すくすく生育します。まさに必勝のソラマメ栽培法です。
 
栽培指導/田村吾郎
1971年、神奈川県生まれ。東京農業大学大学院農学研究科修了。2012年、愛川町で就農し、「わんぱく自然農園たむそん」を開園。無肥料・無農薬で栽培した野菜を地元の直売所で販売するほか、個人宅やレストランに届けている。

畑の探求者 

土と野菜を元気にする
酒粕ボカシ肥を作ろう

「土に元気がないような…」と感じたときに、有効なのが、酒粕ボカシ肥。土壌中の微生物を元気にして、野菜が好むふかふかの土に改良してくれます。さらに酒粕由来の豊富な栄養素が野菜の育ちをぐんとよくしてくれる、まさに極上の肥料です。
 
栽培・文/和田義弥
大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライター。茨城県石岡市に暮らし、約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培。世界70か国以上を旅したなかで出合った多様な栽培法を実践する。著書に『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)などがある。