家の光協会

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やさい畑

2025年8月夏号

922円(税込み)

2025年7月3日発売

IENOHIKARI

特集

6大トラブルをズバッと解決!
真夏を制する育てワザ

真夏は野菜にとって厳しい季節です。梅雨が明けると、高温・乾燥が野菜を傷めつけ、害虫の被害や集中豪雨に見舞われることも少なくありません。近年は異常ともいえる酷暑で、「野菜がうまく育たない……」という悲痛な声が、編集部にもたくさん届いています。そこで、真夏の菜園で起こりがちな6つのトラブルに焦点を当て、その原因から対策までを徹底的に解説します。これを読めば、真夏の厳しさを乗り越えて、野菜を元気に育てるワザが身につきます。

監修/山川 理
1947年静岡県生まれ。京都大学農学部卒、農学博士。元九州沖縄農業研究センター所長。農林水産省でサツマイモやイチゴの新品種を多数育成。代表的な品種は『べにはるか』。現在、山川アグリコンサルツ代表を務め、さまざまな野菜の新品種の育成、食品加工や地域活性化のアドバイスを行っている。著書に『サツマイモの世界 世界のサツマイモ』(現代書館)などがある。

【主な内容】
! 梅雨明け直後に株がぐったりする
! 盛夏に株がしおれて元気がない
! 害虫がたくさん発生した
! 実の色や形がおかしい
! 秋冬野菜の種まきがうまくいかない
! 頻発する集中豪雨や台風


特別企画

達人直伝!

猛暑に勝つ 秋冬野菜の種まき

年々厳しさを増す夏の暑さにより、秋冬野菜の種まきがいっそう困難になっています。何度もまき直したのに失敗して、「もう夏の種まきは懲りごり!」と感じている人は多いはず。そこで、野菜づくりの達人たちに、夏の種まきを成功に導くための秘策を教えてもらいました。

【主な内容】
〇ニンジン① V字の“溝底播種”で発芽率が大幅アップ!
〇ニンジン② 籾殻と遮光ネットの“2層空間”で種を守る
〇ニンジン/ダイコン 
       確実に根づいて、まっすぐ育つ“紙筒の移植栽培”
〇小カブ   簡単に移植できる“セルトレー丸ごと植え”
〇ハクサイ  丈夫に育ち、活着も早い“練り床ポット育苗”。

大型連載

糸状菌の力で元気野菜づくり
家庭菜園で菌ちゃん農法

無農薬・無肥料でも糸状菌の力を生かして、大きくて健康な野菜が収穫できる「菌ちゃん農法」が全国で急速に広がっています。菌ちゃん先生こと吉田俊道さんが、『やさい畑』読者のために考案した2畝の家庭菜園向けモデルでの実践法を紹介します。今回は、ダイコンやキャベツといった秋冬野菜の育て方を中心に、畝の管理テクニックを解説します。


監修/吉田俊道
㈱菌ちゃんふぁーむ代表取締役。1959年、長崎市生まれ。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県農業改良普及員を経て1996年に有機農家に。食育推進にも取り組み、NPO「大地といのちの会」理事長を務める。著書に『微生物の力だけで奇跡の野菜づくり 図解でよくわかる菌ちゃん農法』(家の光協会)など。

基本がわかる大型連載

有機自給農家
柴田家のやさしい野菜づくり

有機農業のメッカとして名高い茨城県の八郷地区に夫婦で新規就農した柴田農園による栽培講座。季節に合わせた野菜を育て、収穫物でさまざまな加工品をつくる自給生活を送るお二人に有機での野菜の育て方を教えてもらいます。新規就農者だからこそ気づいた栽培のポイントをふんだんに織り交ぜて、わかりやすく、やさしく解説します。

 【今号で紹介する野菜】
●二ンジン ●キャベツ ●ブロッコリー ●ハクサイ ●レタス ●秋冬野菜の苗づくり ●ダイズ ●アズキ ●トマトピューレ

指導/柴田佳幸・柴田美奈
茨城県石岡市で柴田農園を営む。1.2haの畑で年間約70品目の野菜を有機栽培で生産し、契約者に野菜セットとして出荷している。ともに東京都出身。それぞれ石岡市の有機農家で研修後、独立して結婚。現在は、高校生から3歳まで5人の子供たちとセルフビルドした住まいで、できるものはなんでも自分たちで作る自給自足的暮らしを実践している。

新連載

千重子さんの百品自給暮らし
夏を乗りきる畑と台所

八ヶ岳と蓼科山を望める標高1000mの高台に、野菜を中心に果樹、ハーブ、花などが所狭しと植えられた有機自給菜園があります。細井さんは、この菜園と周囲の野山からとれたものを生かし、日々の料理はもちろん、お茶、化粧水など100品以上を自給しています。1年間絶やさず収穫し、加工・保存する自給の知恵を紹介します。


細井千重子
1943年長野市生まれ。鯉淵学園の農村生活科で学んだあと、農協の生活指導員に。6年勤務したのち、食の源である土を学ぶため、有機農法研究家の内城本美氏の農場で研修。その後、農協に復職し、自給運動などに取り組む。佐久市の農と食を楽しむグループ「千石の杜」やJAなどで講師を務める。著書に『寒地の自給菜園12カ月』(農文協)がある。

連載

農の匠 長ネギ栽培の極み技

野菜ごとに優れた栽培技術を持つ生産者に、栽培の極意を伺います。土づくりから収穫までの技術を深掘りすることに加え、家庭菜園に応用できるワザを紹介。今号は、埼玉県熊谷市で土寄せ方法にこだわって絶品の長ネギを育てている田野房治さんにご登場いただきます。

循環菜園 野菜づくりの新常識

ダイコンで検証
乾燥に強い水のやり方はどれ?

「種をまいたら水をやる」という水のやり方が、家庭菜園ではなかば常識化していますが、はたして、この方法がもっとも有効なのでしょうか。近年、「夏の種まきが成功しない」という声が多数寄せられているダイコンを使い、種まき時の水やりパターンを変えた3区画で、収穫までの生育を比較しました。

栽培指導/内田達也
アースケアテイカー。㈱いかす取締役。1976年、東京都生まれ。神奈川県平塚市で8haの有機栽培圃場を運営し、年間40品目の野菜を出荷。持続可能な農業の担い手を増やす「はたけの学校【テラこや】」講師を務める。

イガさんの菜園実験室 

頂花蕾はいつまでとれる?
ブロッコリーのずらし植え実験

ブロッコリーの頂花蕾は1株に1つしかできませんが、家庭菜園では一度にたくさんとれても食べきれません。とはいえ、収穫時期をずらそうと、早晩性の異なる品種を育てるのも、作型を変えて育てるのもひと苦労です。そこで、使用する品種は1種類、セルトレーに1回だけ種をまき、育てたセル苗を約1週間おきに計6回、定植していきました。はたして、頂花蕾の収穫期間はどれくらい延びるのでしょうか。

栽培指導/五十嵐 透
東京都練馬区の農業体験農園「イガさんの畑」園主。練馬区農業体験農園園主会会員。江戸時代から続く農家に生まれ、平成11年に農業体験農園を開設。現在は約120名の利用者に、年間約20種類の野菜の栽培法をわかりやすく指導している。

スマイル農園のなるほど栽培 

じかまきで、すくすく育つ
やってみよう! キュウリの夏まき

キュウリは夏野菜の代表格として知られていますが、じつは暑さが苦手です。春に植えた株が梅雨明け後の暑さで弱って、盛夏には栽培が終わってしまうなんてこともありがちです。そこでおすすめなのが“夏まき”。育苗の手間はなく、畑に直接種をまけるので、手軽に取り組めます。本格的な収穫は涼しくなった秋。みずみずしいキュウリがたっぷりとれます。


栽培指導/豊泉 裕
1967年生まれ。東京都立川市の農業体験農園「スマイル農園」園主。江戸時代から続く農家の十代目で、就農30年め。農園利用者に年間約50種類の野菜の栽培を指導している。

 ひとつ野菜の食べ尽くし献立

食感の変化が楽しい甘長トウガラシ

辛くないトウガラシの一種、甘長トウガラシは、皮がやわらかで、さわやかな苦みが持ち味。料理の用途も多く、加熱具合によって、食感ががらりと変わるのも魅力です。食感の変化を楽しみつつ、甘長トウガラシの味を引き出す調理法を紹介します。

指導/鴨志田佑衣
東京都三鷹市で有機・無農薬栽培を営む鴨志田農園のおかみさん。助産師をしつつ、旬の野菜をたっぷり使った献立を雑誌やインスタグラムで発表するほか、料理教室を運営し、いずれも人気を博している。

プランターで循環野菜づくり 

害虫は“おとり”で防ぐ
ずっしりダイコンの育て方

プランター栽培の達人、安藤康夫さんによる栽培講座。「プランターでも、コツを押さえれば、こんなに立派なダイコンを手軽に育てられます。悩ましいのが虫の害ですが、これにはとっておきのワザがあります」。土づくりから虫害対策まで、プランター栽培ならではのワザを教えてもらいました。
 
栽培指導/安藤康夫
東京都板橋区在住。2006年から自宅の屋上(約35㎡)でプランター栽培を始める。伝統野菜を中心に年間30品目の野菜を育て、自家採種を続けている。著書に『プランターで有機栽培1・2』(農文協)がある。


自然栽培を成功させる方法 

虫害に強く、大株になる
チンゲンサイは移植でよく育つ

神奈川県愛川町の農園で、年間100品目もの野菜を自然栽培で育てて、出荷している田村吾郎さんによる栽培講座。今号は、通常はじかまきする秋冬のアブラナ科の葉菜類を畑の苗床で育てて、移植する栽培法を紹介します。ひと手間をかけて移植することで、虫害を防いで大きく育つという、田村さんならではのワザを、チンゲンサイの栽培をとおして解説します。
 
栽培指導/田村吾郎
1971年、神奈川県生まれ。東京農業大学大学院農学研究科修了。2012年、愛川町で就農し、「わんぱく自然農園たむそん」を開園。無肥料・無農薬で栽培した野菜を地元の直売所で販売するほか、個人宅やレストランに届けている。

畑の探求者 

野菜づくりに有効!?
使用済みカイロでダイコンを育ててみた

“使い捨てカイロ”の主成分は、鉄粉と活性炭、そしてバーミキュライトです。これらは野菜の生育に欠かせない要素であったり、土の保水性や通気性を改善できる効果があったりします。“使い捨て”にすればごみですが、使い方によっては有効な資材になるはずです。そこでカイロの中身を施した畑に、ダイコンの種をまいて、効果を検証してみました。
 
栽培・文/和田義弥
大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライター。茨城県石岡市に暮らし、約5反の田畑で自給用の米や野菜を栽培。世界70か国以上を旅したなかで出合った多様な栽培法を実践する。著書に『家庭菜園の超裏ワザ』(家の光協会)などがある。