家の光協会

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やさい畑

2023年12月 冬号

922円(税込み)

2023年11月2日発売

IENOHIKARI

たくましい野菜ができる 引き算の土づくり

土づくりを「1作ごとに堆肥や肥料を足して土を耕す行為」だと思い込んでいませんか。
確かに、1作ごとに失われた養分を土に補給するという意味では、理にかなっています。
しかし、一時的に養分を補給できても土の本質は変わりません。
見方を変えましょう。土の本質を変えられるのは作物自身です。
地中深くに根を張り、大きく育った茎葉が土に還れば、土の物理性が改善され、
病害虫に負けないたくましい野菜が育ちます。
資材の高騰も無視できない昨今、堆肥や肥料に頼らない“引き算”の土づくりに、
この冬から取り組んでみませんか。

監修:内田達也
アースケアテイカー。(株)いかす 取締役。1976年、東京都生まれ。神奈川県平塚市で7haの有機栽培圃場を運営し、年間50品目の野菜を出荷。持続可能な農業の担い手を増やす「サステナブル・アグリカルチャー・スクール」講師を務める。

《記事の内容》
毎年〝足し算〟の土づくりをしていませんか?/土づくりの土台は物理性にある/触って土の粒子の大きさをチェック/身の回りの土を触ってみよう/水の透明度で団粒構造のできをチェック/穴を掘って作土層の深さをチェック /イネ科の緑肥作物で土を耕す/ 畑の現状に合わせた4つのパターン/ 育てるほどに物理性が上がり、化学性と生物性も整う

栽培連載

混植&連作でどんどんとれる フクダ流ひらめき菜園塾

北風が吹きつける季節。“野菜づくりは春までお休み”と思っていませんか?
それはもったいないかも。トンネル栽培なら、今が始め時の野菜がたくさんあります。
福田さんならではの混植&連作を駆使したトンネル栽培と、
堆肥づくりやたくあん漬けを漬けるのは冬ならではの畑仕事です。
「もうすぐ今年も終わりだけど、野菜づくりは終わらない。
今始めれば、春にはみずみずしいキャベツやニンジンがどっさりとれるよ」

指導/福田 俊
東京都生まれ。東京農工大学農学部卒。家庭菜園研究家&ブルーベリー研究家。元東京農業大学グリーンアカデミー専科野菜講師。種苗会社勤務時より、野菜づくりを開始。埼玉県にある畑と都内自宅の車庫上に設置した限られたスペースで有機・無農薬の野菜づくりを実践。自身のHP(http://www.fukuberry.com)でも、日々成果を発信している。著書は『おもしろアイデア栽培術』(万来舎)など多数。

《冬号で紹介する野菜》
春ニンジン/ 春ダイコン/ ダイコンを楽しみ尽くそう!/ 初夏キャベツ/ ライムギ/ 剪定枝でつくるふかふか堆肥/ダイコン&ハクサイの格別漬け

プランター栽培の絶対セオリー

畑よりもずっと手軽に始められるプランター栽培ですが、頭が痛いのは、土の処分について。
同じ土を使い続けると野菜の生育が悪くなるため、なるべく新しい土を使うように推奨されています。
とはいえ、土はごみに出せないので野菜づくりを諦めてしまう人もいらっしゃるのではないでしょうか。
 ところが、そんな欠点をものともせず、自宅の屋上で、年間約30種類の野菜を栽培し、一年中ほぼとぎれることなく収穫している達人がいます。
安藤康夫さんは、なんと17年ものあいだ、同じ土で同じ野菜を作り続けているそうです。
それなのに連作障害にならないのは、〝捨てない土づくり〟をしているから。
これまでの常識を根底から覆す、プランター栽培のセオリーを教えてもらいました。
特別な道具や資材は、必要ありませんよ。

栽培指導/安藤康夫
東京都板橋区在住。60歳。会社経営のかたわら、自宅の約35㎡の屋上で、野菜や果樹をプランター栽培している。栽培開始当初は畑よりも高品質・多収量を目標にしていたが「肩の力を抜いて、無理なく野菜づくりを続けよう」をモットーに、持続可能なプランター栽培のスタイルを確立している。著書に『プランターで有機栽培1・2』(農文協)。

イガさんの菜園実験室 ソラマメの防寒実験

ソラマメは寒さにめっぽう強い野菜として知られています。
多少の凍害を受けても復活し、春には旺盛に伸びるケースが多く、防寒対策をしないで越冬させる人は多いと思います。
一方で、「北風や霜をよける程度の防寒対策はしたほうがよい」とも言われます。
はたして、「防寒あり」と「防寒なし」でどれくらい収量に差が出るのでしょうか?

栽培指導/五十嵐 透
東京都練馬区の農業体験農園「イガさんの畑」園主。練馬区農業体験農園園主会会員。江戸時代から続く農家に生まれ、平成11年に農業体験農園を開設。現在は約120名の利用者に、年間約20種類の野菜の栽培法をわかりやすく指導している。

循環菜園 野菜づくりの新常識7 真冬に葉物野菜を作りたい! どうまけばいいの?

葉物野菜の種まきといえば、じかまきが常識。
しかし、寒さの厳しい冬ではどうでしょうか。「じかまきだと寒さで枯死してしまうのでは?」「めんどうでも育苗から始めたほうが確実に育つのでは?」と疑問が湧いてきます。
そこで、コマツナとホウレンソウの種を真冬にまき、畑にじかまきした場合とセルトレーに育苗してから植えつけた場合との、株の育ち方を比較しました。

栽培指導/内田達也
アースケアテイカー/うちだ・たつや
(株)いかす 取締役。1976年、東京都生まれ。神奈川県平塚市で7haの有機栽培圃場を運営し、年間50品目の野菜を出荷。持続可能な農業の担い手を増やす「サステナブル・アグリカルチャー・スクール」講師を務める。

野菜づくりの助けになる 畑に植えたい花図鑑

畑にわざわざ花を? 
畑は野菜を育てる場所、おいしい野菜さえ収穫できればそれで十分。
そんなふうに思っているみなさん、少しお待ちください。
花は、見た目が美しいだけでなく、受粉を助けるチョウやハチ、害虫を捕食する天敵昆虫が花に集まり、野菜の生育を手助けしてくれます。
さらに雑草や病害虫を抑制する花もあれば、食用になる花もあります。
先人いわく「栽培上手の畑には花がある」。
畑で作りたい22種類の花をご覧ください。

指導・監修/麻生健洲
千葉大学園芸学部卒業。埼玉県の農業高校教諭として35年間、園芸(おもに野菜)と生物工学を教える。現在は書籍や雑誌記事の執筆、監修のかたわら、家庭菜園を楽しむ。

始めよう、 冬の落ち葉堆肥づくり

落ち葉堆肥は、土をふかふかにする効果に優れています。
たっぷりと施したいところですが、市販品をたくさん買うと値が張ります。
その点、手づくりなら思う存分用意できます。
自然の材料から微生物たちがじっくりとつくり上げた落ち葉堆肥には、野菜を健やかに育てるパワーが詰まっています。

指導・文/和田義弥
大学卒業後、出版社勤務を経てフリーライター。茨城県石岡市で、セフルビルドした自宅に暮らし、約4反の田畑で自給用の米や野菜を栽培。農機具小屋や雨水タンクなども手づくりしている。著書に『やさしく学ぶ菜園DIY入門』(地球丸)など。

区画農園の超絶達人 タマネギ・カボチャ・ネギ なかよし同居栽培

「1年中、食卓で重宝するタマネギとネギは、ぜひ作りたい野菜です。でも、両方とも栽培期間が長いので、狭い農園では場所を探すのに一苦労なんですよね」と宮﨑さん。
タマネギは栽培期間の後半が、夏野菜の植えつけ時期と重なってしまいます。
またネギを植える6~7月、すでに畝は夏野菜で満杯です。
そこで宮﨑さんが考えたのが、時間や空間をずらして共存させる方法です。
今回はタマネギとカボチャとネギを一つの畝で栽培してみました。
タマネギからカボチャへとリレーし、カボチャの下ではネギを育てます。
それぞれの特性を生かしたら、お互いに弱点をカバーしあって、元気に育ちました。

栽培指導/宮﨑靖好
外資系企業の日本法人代表を定年退職後、横浜市内の区画農園で野菜づくりを始め、現在3区画90㎡の畑で年間70品目を手がける。堪能な英語を駆使して国内外の情報を集積し、限られたスペースを最大限に生かすための研究に没頭。密植や畝の上空を使い倒すリレー栽培など、常識を軽々と超越した手法を編み出し、高品質・高収量を実現している。

種採りの醍醐味 冬野菜編

育てた野菜からお気に入りを選び、
その種を採り続け、自分だけのオリジナル品種をつくる。
こんな夢とロマンにあふれる種採りは、家庭菜園でも楽しめます。
とくに採種まで時間のかかる冬野菜は、ふつうの栽培では見られない作業もあり、野菜づくりの幅を大きく広げてくれます。
自家採種を続けながら、無肥料・無農薬で高品質の野菜を育てている
関野幸生さんに、冬野菜の種採りについて語ってもらいます。

指導・監修/関野幸生1971年、埼玉県富士見市の農家に生まれ、30歳で就農。農薬と肥料をまったく使用しない自然栽培と自家採種を実践する。関野農園代表。無肥料自然栽培を普及する団体「nico」会長。共著に『無農薬・無化学肥料で育てる! おいしい野菜づくり』(成美堂出版)、『固定種野菜の種と育て方』(創森社)がある。

別冊付録

2024年野菜づくり お助けカレンダー

毎年、大好評のカレンダーを今年も付録にしました。
さらに使いやすく、野菜づくりの手助けになる情報を大幅に増やしました。
予定や記録を書きやすいように、記入欄を改良しました。

野菜別の作業のポイントがわかる「種まき・植えつけ早見図解」と、
ひと目で年間スケジュールが展望できる「栽培暦」も記載。
年間作付け計画が立てやすいと評判です。