農村文化情報

分類:野菜生産 都道府県:高知県 団体名:JA土佐あき 羽根支所
グループ名:園芸研究会ナス部会

海からの付加価値―深層水ナス
 

●事業の開始時期、実施の理由・目的
   近年、消費者の健康にたいする関心が高まるなか、海洋の深層水を利用した商品の開発が行われるようになった。分野も飲み物や食品をはじめ、化粧水や入浴剤にまで広がっている。
 農業分野で、ミネラル分が豊富な海洋深層水の将来性に着目したのが、JA土佐あき羽根支所管内にある園芸研究会ナス部会である。ナス部会では、ナスの生産量が日本一を誇る土佐の高知で、「もっともおいしく、より健康によいナスを作りたい」という思いから、室戸岬沖の水深374mのところからくみ上げた室戸海洋深層水を薄めて、ナス栽培での灌水や葉面散布に利用しようと試験栽培を始めた。

●ナス栽培の活動内容のポイント
 まず「深層水ナス」の栽培の主な内容を紹介しよう。
 8月に植えつけた苗は、主枝を3本に仕立てる。その後、光がよく当たるように整枝する。畝の表面には、透水性の優れているヤシ殻を敷く。ヤシ殻は夏は暑さを防ぎ、冬は保湿効果があるが、ナスを収穫した後に土と一緒に切り返すと土壌の改善にも役立つ。
 灌水に海洋深層水を利用すると、植えつけ後の苗の根張りがよくなるうえ、病気にかかりにくい。青枯病や煤カビ病、灰色カビ病の被害が軽減してきた。

●「深層ナス」栽培の特色
 以前から農薬を減らしたナス栽培をすすめてきたナス部会では、環境にやさしいナス作りを大きなテーマとしている。これまで部会では、マルハナバチやミツバチを利用した交配、天敵昆虫の利用など消費者のニーズに応える栽培に部会のメンバーは一丸となって取り組んできた。その結果、平成14年には「ISO14001」を取得し、環境に配慮したナス生産に取り組み、環境保全型農業、次代に引き継ぐ農業の実践を宣言している。
 この宣言に基づき、ナス部会では、「深層水ナス」を栽培するにあたって主に次のことに留意して取り組んでいる。
環境目的 部会環境目的

取り組みの内容

廃棄物の適正な処理 塩化ビニールの適正処理
(処理率80%)
使用した塩化ビニールのうち、80%はJAが回収する再生処理に回す。残りの20%は再利用および分別保管
廃ポリの適正処理(全処理農家がJAと委託契約) 廃棄するポリ系資材は、JAとの委託契約により許可業者により処理
廃棄物の分別と保管の徹

廃棄物は処理するまでの間、分別して保管。分別、保管状況は部会で点検。

減化学合成農薬対策 高知県における慣行農薬散布回数の20%減

・マルハナバチ、ミツバチを利用し、ナスの花を受粉
・天敵昆虫の利用
・ハウスの開口部に防虫ネットを被覆し、害虫の侵入を防ぐ
・害虫の活動を抑える黄色蛍光灯の利用
・病気に対する抵抗性台木の利用

環境保全型農業の推進 元肥施用量の50%以上を有機質肥料とする 土壌分析により元肥の施用量を決定し、そのうち50%以上を有機質肥料に
堆肥の施用(10aあたり2t) 土づくりのための堆肥の施用
ISO学習会への参加 ISO活動および環境問題への理解促進のためISO学習会へ参加
年1回の消費者との交流会の開催 生産地の取り組みを理解してもらい、環境に配慮した農業をいっそう推進するための消費者との交流会の開催。また、積極的なPR活動をする。
汚染の予防対策 農薬保管庫の管理の徹底 農薬による事故を未然に防ぐために農薬保管庫を設置し、適正に保管。保管状況は部会で点検。

●活動の成果、今後の事業展開計画
 園芸研究会ナス部会では、海洋深層水を利用したナスの栽培技術体系を確立し、平成12年3月に、それまでの研究活動、試験内容が認められ、高知県の商標登録「室戸海洋深層水ブランドマーク」の表示を許され、翌13年から「深層ナス」として売り出した。
 品種は『竜馬』が中心。さらに17年からボリュームアップをめざして出荷規格を変更した。多く出荷されるM品は、果長11〜13.5cm、果重75〜85gとした。この規格に合わせるため、新たに『高育5号』の試験栽培にも取り組んだ。その結果、44戸の生産者、栽培面積約5haになり、生産量は年間約1500tとなっている。
 ナス部会では、さらに研究機関として連結して行った「深層ナス」の成分分析の結果をふまえた生産に取り組んでいる。
平成12年5月から試験栽培を始め、味がよく、日持ちがするという市場の評価を得た。さらに消費者へのアンケート結果でも「ナス特有のあくが少なく、まろやかな甘みがある」「切っても黒くなりにくく、果肉がしっかりしていて調理しやすい」などの評価をもらった。

 
《問合せ先》
生産/JA土佐あき 羽根支所 営農経済部
   〒781-6742 高知県室戸市羽根町乙1081
   TEL 0887-26-1231

販売/高知県園芸農協連 特産販売課
   〒781-0112高知市仁井田新港4706-4
   TEL 088-837-6304

「深層水ナス」のホームページ
http://www.shinsosui-nasu.com/

●地域の概況
 室戸市は高知県の南東端に位置し、室戸岬を中心に海岸線は土佐湾から紀伊水道にまたがっている。
 後背地は安芸山地で、この山地が土佐湾側の海岸線に迫る室津、吉良川、羽根の各地に広がり、帯状の隆起平野を形成している。河川は羽根川、西川、室津川があるが、いずれも短小な急流で、雨期には水害や山地の局部的な崩壊などを招くことが多い。
 室戸岬の西海岸には室津港と室戸岬(津呂)港とがある。マグロ漁などの遠洋漁業のほか、岬南東海上の好漁場でのカツオの一本釣りや、室戸岬東岸でのブリ大敷網漁業などもあるが、年々規模が縮小している。
 一方、羽根、室戸などの平野部では温暖な気候を利用してのキュウリ、トマト、ナス、豆類などの促成栽培が行われている。海岸段丘下の緩傾斜地ではビワの栽培が行われ、黒耳(くろみ)の早生ビワは有名である。


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