農村文化情報

分類:地域おこし 都道府県:長野県 団体名:JAみなみ信州管内
グループ名:トンキラ農園農事組合法人

** 地の利を活かして都市と交流 **
 
農家のおじいさん、おばあさんが共同経営

 140年前の農家を移築したレストランのある本館、1.7haの農園、ほだび工房、炭焼小屋に羊牧場。訪れる都市の人々に山村の生活が体験できる「トンキラ農園」は、地元のおじいさん、おばあさんが元気に働ける場でもある。

●事業の活動内容
   「トンキラ」とは、昔から浪合村に伝わるししおどしの原理で動く精米製粉機のことで、「唐臼」とも書く。農園には山村料理を提供したり農産加工品を販売する本館(郷土文化保存伝習施設)をはじめ、トンキラ小屋(精米製粉機があり実際に使用できる)、工房ほだび(天然酵母のパン屋さん)、炭焼き小屋の施設のほか、簡易宿泊施設や羊牧場、農園などがある。 分散された1.7haの農園では、年間約1万本のトウモロコシ、2,500kgのジャガイモ、200kgのトマト、450kgのキュウリ、100kgのナス、50kgのピーマン、150kgの白菜、600kgのキャベツ、2,500kgのダイコン、100kgのニンジン、70kgの花豆、150kgのササゲ、300kgのネギ、150kgの野沢菜、150kgの大豆、550kgのカボチャ、100kソバ、60kgのコキビ、100kgのナガイモなど、多種多様の生産を行っている。全て市場には出荷せずに、経営するレストランで消費されたりレストランに来店したお客が購入している。
 ほかにサフォーク(羊)を5頭飼っていて、毎年、初夏には純毛を刈り取っている。

●事業の開始時期、実施の理由・目的
 経済原則に合わなくなった山村の農業現場(遊休荒廃地など)を活用し、山村の景観保全や山村文化の伝承を基調に、内外の人々との参加と交流に経済的成立をねらった、複合農園にするために、平成2年から整備をはじめて、平成3年8月に「トンキラ農園農事組合法人」を設立した。構成人数は7名(理事5名)が運営に当たっている。

●事業の特色
 野菜はすべて自家消費なので、見てくれを気にせず、農薬の使用を極力おさえた野菜作りを行っている。その野菜などを使った料理をレストランで提供。「冷凍ものなどもってのほか」を合言葉に、化学調味料を一切使用せず、野菜の味を生かした自然の味付けにこだわっている。作っているのは60〜70代のおばあちゃんが担当。主要なメニューである「トンキラ定食」は、おばあちゃんたちが味付けをした5種類の野菜の煮物に、ヤマメ(もちろん冷凍ものではなく、清流を山から引いた池で採ってきたものを、囲炉裏で炭を使って焼いたもの)、こもどうふ(豆腐をワラで巻き、出し汁で煮たもの)、花豆、五平もち、きびだんご、味噌汁、漬物で構成されている。ほかに「五平餅定食」「こびき・あわ定食」「とろろ定食」、山菜やキノコ、栗めしなどで構成される「季節定食」などがある。

●活動の成果、今後の事業展開計画
 浪合村は標高1000mに位置し、夏は避暑に訪れる人もおおい。「トンキラ農園」は国道から離れていることもあり、かつ築140年の建物の中で食事をすると落ち着くと都会からの客には評判がいい。「もっと宣伝したら」と言う声もあるが、あまり派手にせず、おばあちゃんたちが使う「おあがりて」の言葉どおり、もてなしの心をいつまでも大切にしていきたてとメンバーの皆さんは言う。
 現在、冬場のお客の減少に対して、どのように対処していくかが課題となっている。サフォークの毛を刈り取り、糸車を使い「羊毛糸つむぎ体験」や「炭焼き体験」「わらぞうり作り体験」など、農閑期の時間がある時期に「体験教室」を開きたいと計画。村内にはそれらの技術を持った方々がおおく、講師には不自由しないのが強み。将来的には土地の伝統を守りつつ「循環」と「自給」をテーマに経営を進めていきたいと考えている。

                        <『家の光』1999年3月号掲載・2000年9月更新>

 
   
《問合せ先》

『トンキラ農園農事組合法人』
(代表)山口 幸男

TEL:0265−47−2501
FAX:同
 
〒395−0501
長野県下伊那郡浪合村1520−4

●地域の概況
 浪合村は長野県の南西端に位置し、愛知県に近く岐阜県とも境を接している。東西10km、南北9.5km、総面積は57.2kuのほぼ円形の村。下伊那の中心地である飯田市まで29km、長野県庁までは190kmもある。村の中心を国道153号線が縦貫し、中央自動車道とも接続している。
 標高は900mから1.200mあり、四方を山々に囲まれた高冷地であり、村域の84%を山林が占めている。人口771人(平成10年4月現在)、263世帯で、治部坂川、浪合川、和知野川のなどの川の流域に9つの集落が点在している。現在、約131haの耕地と約5.400haの山林を多目的に活用。平地に乏しく耕地・宅地はわずか2%ということもあり、昭和40年に農林水産業の従事者が54.8%だったのに比較し、平成7年には10.8%と著しく減少した。これに伴い観光事業が主産業となり、村内にゴルフ場、二つのスキー場、温泉などのリゾート施設が設けられている。「トンキラ農園」も、こういった施設の一つとなっている。



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