農村文化情報

分類:農産加工 都道府県:北海道 団体名:JAひがしかわ管内
グループ名:パン工房「メルヘン」

夢ふくらむ 米のパン
 

地元で生産された米が細かい粉になり、それを利用した新しいパン作りが始まった。

●事業の活動内容
 

上川支庁東川(ひがしかわ)町の宮崎美智子さん(51)は、平成14年4月、パソコン工房「メルヘン」を誕生させた。夫の正雄さん、PTAの仲間たちが建物造り、ペンキ塗りなどを手伝ってくれた。オーブンなどの機器は、製パン業者の使っていた中古品を利用。費用は300万円ほどだった。パンは、この町で生産される米『ほしのゆめ』からつくった粉を使って作り、道内各地に向けて販売している。
製パンの作業は、宮崎さん一人のため、午前3時ころから始める。それに加えて、前日夕方からの粉の計量や、製造前の仕込みがあるため、日付が変わるとただちに作業にとりかかることもしばしばである。
「こねる」「発酵させる」「焼く」などのパン作りの手順は、コムギ粉を使った場合と変わらない。ただ、発酵させるときの温度や生地のやわらかさをどうするかなど、米粉を使ったパン作りならではの難しさがある。


●事業の開始時期、実施の理由・目的

JAひがしかわに勤めていた宮崎さんは、米の検査を担当していた。そのとき、検査場で働く人たちにパンを焼いて持っていったところ、その場にいた稲作農家の人に「米の検査場にコムギ粉で作ったパン?とんでもないことだ」と言われ、ショックを受けた。
ちょうどそのころ、小学生だった長男が重いゼンソクを患い、アレルギーのもとになる成分の含まれたコムギ粉で作ったパンが食べられないという事態にあった。
それらの出来事が宮崎さんの心の奥にしみ込んでいた6年ほど前、なにげなく読んだ雑誌に滋賀県のある加工グループが米粉を使ってパンを作っているという記事が載っていた。すぐに製パン用の米粉を扱う新潟県の新潟製粉に問い合わせ、注文した。取り寄せた米粉を触ってみたところ、コムギ粉より上新粉に近いものだった。
この粉を使ってパンを焼いてみたが、当初はうまくいかず、失敗の繰り返しだった。講習会に参加したり、専門家のアドバイスを受けたりするとともに町、JA、米麦改良協会などの支援もあって、東川町でとれる『ほしのゆめ』の米粉で、おいしいパンが作れるようになった。


●事業の特色

食パン、ロールパンのほか、東川町特産のパプリカ(ピーマン)を使った3食パン、クルミやレーズン、チョコチップ入りなどの各種菓子パンを作っている。オーブンで20秒ほど温めると、おいしく食べられる。パプリカの入った米パンは、米の甘さにパプリカの甘さが加わったパンとして、ピーマン嫌いの子どもたちにも喜ばれている。
販売先としては、旭川市内にある「ホクレンショップ」をはじめ、遠く札幌市内の個人の消費者から注文があるほどの人気ぶりである。あわせて地元の道の駅「コミュニティーセンター道草館」でも販売している。


●活動の成果、今後の事業展開計画
宮崎さんの“子どもたちに、できるだけおいしいパンを食べさせたい”という願いが実り、月1回、最終週の火曜日に東川町内の小学校4校と中学校1校での学校給食で、「米パン給食の日」として米パンを提供している。また、子どもたちにパン作りを親しんでもらおうと、地元の中学校の創造的総合学習の一環としてパン作りの職場体験を引き受けた。3人ほど訪ねてきたが、そのうちの一人の男子生徒は「将来、米パンを作ってみたい」という希望を口にしたという。
宮崎さんの夢はさらなる広がりをみせている。それは“グルテンの入っていない純粋の米粉で作ったパンを子どもたちに食べさせたい”ということである。その夢の実現のため、宮崎さんは6月にわざわざ大阪まで出向いて、パン作りの技術研修を受けてきた。近い将来、宮崎さんの夢が実現されることを多くの子どもたちが期待している。


《問合せ先》
パン工房「メルヘン」
〒071-1437
北海道上川支庁東川町東7号北3
TEL&FAX 0166-82-4733
 

●地域の概況

旭川市の東に位置する。町域の西部は、上川盆地の穀倉地帯の一環をなす平野部が広がる。東部は大雪山連峰の主峰・旭岳に連なる火山・原生林地帯で、大雪山国立公園に含まれている。南西部には、東神楽町との境界をなす忠別川が南北に流れている。
主な産業は、米、野菜(高原野菜)を中心とした農業。野菜ではとくにパプリカ(ピーマン)の特産地として有名。そのほか、野菜を原料としたジュース加工も行われている。



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