農村文化情報

分類:農産加工 都道府県:滋賀県 団体名:安土町生活改善グループ
グループ名:まるごと彩菜工房 安土夢(アンドーム)

** 露地野菜を材料につくる野菜せんべい **
 
農林水産食品流通局長賞を受賞

 職種もばらばらな11名のメンバーでローテーションを組み、真心のつまった手づくり野菜せんべいを作っている。

●事業の活動内容
   「安土夢」の皆さんが作る野菜せんべいは10種類。カボチャ、ニンジン、タマネギ、 シイタケ、キクナなどがある。朝採りの新鮮な野菜をミキサーにかけてペースト状にし、つなぎにトウモロコシとデンプンをミックスして、薄くパリッと焼き上げ、食べても食べても飽きがこない。当初、野菜は6割だったが、もっと増やそうということになり、いつのまにか8割にもなった。野菜せんべい「まるごと彩菜」は平成10年に農林水産省が主催する、ふるさと食品コンクール・国産原料利用部門で食品流通局長賞を受賞した。「まるごと彩菜」に続いて開発したかきもちの「まるごとつくつく」も、同年、淡海ふるさとの味加工食品コンクールで優秀賞を受賞した。
 販売先は女性ならではのきめこまかな交流を生かし、多種多様に富んでいる。町内の土産物屋3件、町内施設の文芸の郷の売店、第三セクターあづち楽市、県施設の米プラザ、駅の道、国民休暇村近江八幡の売店、企業研修ホテル(彦根売店)、カタログ販売、信長まつりなどのイベント、一般家庭の贈答品など広範囲にわたっている。ユニークなのは月に2回、安土保育園のおやつにも利用されていること。
 原材料の野菜は、すべてメンバーの自家産野菜を利用。各自が自信のある野菜を提供 し、すべての野菜は市場相場で買い入れ、年間の野菜栽培計画を自主申告制にするなど、メンバーで工夫をこらしている。「自然の営みのなかで生産された野菜は、すべて我が子のようにいとおしい個性をもっています。その野菜を尊重した製品作りに心がけています」と代表の嶋川千代子さんは語っている。

●事業の開始時期、実施の理由・目的
 武将・織田信長の幻の居城・安土城があった安土町は、全国的に知られた歴史の町。一方では農業国としての面をもちながらも、商工農の女性たちは沈滞ムードのなかにおかれていた。そんなときに県加工センターの講座で「野菜せんべい」と出合った。平成 7年7月のこと。「今までため込んでいた何かが見えたのです」と嶋川さんは言う。たくさんある自家産の野菜が原料なら、自信をもって安心できる食品を提供できると、同年11月に「まるごと彩菜」の名称を登録した。当初は2名で出発したが、所属していた生活改善グループのメンバーから一人10万円の出資を募り、平成8年4月に再編成。
現在、11名の加工部員で運営している。
生産している主な商品は以下の通り、
・「まるごと彩菜」(野菜せんべい化粧袋24枚入り)650円
・「 同上 」(野菜せんべい透明袋24枚入り)550円
・「まるごとつくつく」(かきもち10枚入り)600円
・「安土町セット」(彩菜・つくつく・黒豆あめ・ニンジンジャム)2.200円
・「箱入りセット」(まるごと彩菜36枚入り)1.000円

●事業の特色
  「安土夢」の活動の特徴は11名のメンバー全てが同額出資で平等であること。行政は後見人的な存在で、指導は受けても運営には口をはさまない。しかし、11名のメンバーのうち何名かは行政の依頼を受けて農業委員、民生委員、保護委員、都市計画委員などの依頼を受けソフト面、ハード面での協力体勢は強固なものがある。
 11名のメンバーの職種もまちまちで養鶏農家2名、専業農家1名、兼業農家4名、パート勤務2名、自営業1名、酒屋1名となっている。年齢は50〜65歳と幅が広い。
 加工所は嶋川さんの旧宅の台所を利用し、せんべい焼機1台、かきもち焼機1台、かき もち乾燥機1台、シーラー1台、ミキサー1台と小規模。おまけに大半が手作業なので効率は悪い。「でも、それだけに作り手の真心がつまった商品になっていると思います」 と、嶋川さんは言う。
 「安土夢」の就労理念は、各メンバーが「自分には何ができるか」を問いかけ、セルフプロデュースしていくところにあると言う。生産、包装、販売、宣伝、経理、企画、運搬などの仕事を自分たちで分担し、月曜から日曜まで焼成1名、包装1名のペアを組み各自の家庭に負担がかからないようにローテーションを組んで活動している。注文や運搬には時間の自由がつけやすい自営業の人が担当、経理は元銀行員の人と得意分野を 生かしているのも特徴になっている。

●活動の成果、今後の事業展開計画
 「安土夢」のせんべいの受賞の情報が全国に伝わり、遠方からも加工所を視察に訪れる人もある。台所を利用した加工所の小ささに驚く人が多いそうだ。だが、丁寧な手作 業に「これだけ手をかければ、いいものが生まれる」と納得するという。
 今後、「安土夢」では〈旬・香・秀・答〉(春夏秋冬)の宅配を計画中。安土にある農産物加工品を厳選し、〈旬〉の〈香〉を贈答品として、都会の消費者に発送していく予定。ちなみに「安土夢」のキャッチフレーズは、“赤ちゃんからお年寄りまで、ほんも のを”。

                        <『家の光』1999年8月号掲載・2000年8月更新>

 
   
《問合せ先》

『まるごと彩菜工房 安土夢(アンドーム)』
(代表)嶋川 千代子

TEL&FAX:0748−46−4288

〒521−1344
滋賀県蒲生郡安土町中屋177番

●地域の概況
 安土は天正年間、織田信長が安土に城の建設を開始し、城下に自由経済を奨励する楽市楽座を設けた。このため多くの商人と職人が安土に集まり、町は栄えた。その一方で安土は肥沃な土壌に恵まれ、農業が盛んに行われていた。とくに大中地区では弥生時代 から稲作がおこなわれ、有名な近江米の産地となった。
 町の面積の半分を近くを占める農地は、近江米の生産がメインだったが、近年は消費者ニーズの変化にともない、農産物の内容も変化しつつある。スイカ、トマト、イチゴなどの果物やラン、観葉植物の栽培、ミツバの水耕栽培などによって、高付加価値型の農業への転換が着実に進みつつある。近江大中牛の飼育や新しい地場産品のフランス鴨の飼育も順調で、これらの地場産品の安土ブランド化が期待されている。



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