農村文化情報

分類:地域おこし 都道府県:石川県 団体名:JAおおぞら管内
グループ名:夢一輪館

くんせいとうふ「畑のチーズ」
 

 白山連峰のふもとの名物「堅豆腐」、揚浜塩田からとれる塩、日本三大魚醤(ぎょしょう)のひとつ「いしり」。能登ならではの食材のコンビネーションが絶妙な高級珍味を誕生させた。

●事業の活動内容
 

■前日に豆腐を仕込む

@地元の豆腐店に特別注文した堅豆腐は、能登産ダイズ、揚浜塩田の天然ニガリで作る。通常の5倍のダイズを使用する
A豆腐1丁を3等分する。すべて手作りのため、1回に作れるのは70〜80丁分。
B切った豆腐をいしり(=イカの魚醤、しお味の場合は塩水)の入った鍋に入れ、80℃まで熱したら火を止め、冷ましながら味を含ませる
。80℃以上になると、豆腐に「す」が入ってしまう。

■豆腐を乾燥させる。

C鍋から取り出した豆腐を網の上に並べて乾燥機に入れ、55℃で乾燥させる。シイタケの乾燥機を再利用して使用。
D5〜6時間後、乾燥の終わった豆腐を取り出す。。

■いぶす

Eシイタケの乾燥機を改造した薫製庫で、七輪に炭をおこして薪をのせ、煙で豆腐をいぶす。薪はスモモやサクラ、ウメの原木。煙が弱くなったら薪を足す。途中で豆腐の位置を変え、均一になるようにいぶす。
F4〜5時間いぶしたら完成。煙のにおいにこだわって原木を選んだだけあって、かぐわしい香りが漂う。時間がたつほど、熟成し、おいしさが増す。
 

●事業の開始時期、実施の理由・目的

くんせいとうふ「畑のチーズ」は、“地元産のブルーベリーを材料にしたワイン『猿鬼(さるおに)伝説』に合うつまみを”ということから、平成7年に開発された。ワインのつまみを作ろうと思い立ったとき、真っ先に頭に浮かんだのが豆腐というのは、「畑のチーズ」の生みの親である高市範幸さん(55)の実家が豆腐店を営んでおり、「豆腐のにおいをかいで育った」というほど身近な食材だったからである。「畑のチーズ」という商品名も、父親が昔「豆腐は農村の牛肉だ」と言ったことを覚えていたことに加え、食べた人が「チーズのような味だ」と話していたことにヒントを得てつけたという。
そもそもワインの「猿鬼伝説」は、高市さんが合併前の旧柳田村の職員として勤めていた昭和62年に開発したもの。生き出したものを自分で育てようと、退職して村内に105.6uほどの食事処「夢一輪館」を建築し、手打ちそばや地元の産物を材料にした特産物とともに販売している。ここでは手打ちそば(能登そば)をはじめ、地元の能登でとれる山菜、キノコ、和牛やクジラの肉、カキなどを使った季節の料理(3000円〜)を出している。

 
  薄く切ってビールやワイン、酒のつまみにどうぞ

●事業の特色

日本古来の食材である豆腐を、どのようにワインにマッチするように変身させるか研究を重ねた結果、「薫製」という加工法にたどり着いた。さらに高市さんの独創性は、「いしり」(イカの魚醤)、「塩」の味に表れている。「畑のチーズ」の製法は、みそ漬けの加工法に似ているが、高市さんは、そこで満足せず、豆腐にいちばん合っている「いしり味」と「塩味」の加工法を編み出した。「いしり」は、秋田県のしょっつる、香川県のイカナゴしょうゆと並んで日本三大魚醤といわれている。いしり、塩とも地元・能登の味にこだわったもので、イカは能登半島近海でとれたもの、塩は同じ海域の深さ320mのところでとった海流深層水から作ったものを使っている。こうした独特の製法には「ほかではできない一級品を作る」という高市さんの信念が貫かれている。


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●活動の成果、今後の事業展開計画

「夢一輪館」は、平成6年に珠州市内にあった廃屋を譲り受け、移築して開業した。「ブルーベリーワイン」「くんせいとうふ」「手打ちそば」を3つの柱に捉え、徹底して“能登の味”にこだわった料理、商品づくりをしている。その後、平成15年に近くに能登空港が開設され、車で7分ほどの利便さもあって、訪れる観光客も増え、それにともなって営業成績も順調に伸びている。
店内の客席数は24名分であるが、春、秋の観光シーズンなどには、次々と訪れる観光客で満席の日が続き、時には1時間待ちという繁盛ぶりである。 ブルーベリーワイン「猿鬼伝説」は2種類あり、720ml瓶は2100円、360ml瓶は1260円で、年間3000本ほどを生産している。その99%が観光客向けの販売で、残りは地元の人たちの贈答用となっている。そのほか、ブルーベリーを100%使い、グラニュー糖だけで仕上げた低糖度のジャム「邪無」(180g,500円)も販売している。
くんせいとうふ「畑のチーズ」は、すべて手作りのため、生産する量は「いしり味」「塩味」合わせて月430個ほど。しかし、需要の多いときは、倍以上の量を作ることもある。逆に観光客の少ない冬場は、月1回作る程度である。価格は、「いしり味」「塩味」とも1個315円で、賞味期限は3ヶ月である。製品のほとんどは、観光土産として販売されている。「いしり」を使った調味料として、平成16年に新しく開発されたのが、能登半島の麦が浦で育ったカキを100%使った「牡蠣いしり」である。野菜や魚などの料理を際立たせる名脇役として重宝がられている。
高市さんの手がける事業は、より多方面に広がりをみせている。そのひとつが、「能登キノコの山」という会員組織による活動である。ここでは、会員を対象に年6回、能登の特産物、地元でとれた食材を使って食べ物などの頒布を行っている。年会費は15,000円で、下記のような季節ごとのいろいろな商品が入手できる。

6月 能登の生ブルーベリー(600g)
8月 手づくりブルーベリーアイス(6個)
10月 能登キノコ(500g)
12月 手打ち年越しそば(4人前)
2月 牡蠣いしり(1本)、牡蠣みそ(2本)
4月 ブルーベリーワイン「猿鬼伝説」(360ml 1本)   
    ブルーベリージャム「邪無」(2本)

これらのほか、7月にはブルーベリー狩り、10月にはキノコ狩りが楽しめる仕組みになっている(会費1万円)。 さらに、“能登キノコの山”を活用したキノコの原木オーナー制度(会員期間2年、会費1万円)も手がけている。オーナー原木は、マイタケ、ヤマブシタケ、シメジ(いずれも10月中旬収穫)、クリタケ、ナメコ、ムキタケ、ヒラタケ(いずれも10月下旬収穫)、シイタケ(4月下旬収穫)、タモギタケ(6月下旬)のうちから5種を選んで、各種2本、10本のオーナーになれる。これらのキノコの収穫時期にキノコ狩りが楽しめる。その時期に来られない場合は、5種それぞれ500gを送ってくれる。さらに3月には、キノコの植菌体験も計画している。

こうした、各種の新しい商品の開発、イベントの企画とともに、新しい試みにチャレンジしている。そのひとつで、平成18年暮れの販売をめざしているのが「ほお葉塩」(ハーブソルト)である。ほお葉塩は、能登町柳田地区の山林で6月に収穫したホオバ(朴葉)の若葉を天日干しして乾燥したものを粉末(パウダー)にした後、能登半島近海の海洋深層水でつくった塩と混ぜ合わせたものである。ホオバの香りが食欲をそそり、焼き魚にかけたり、おにぎりに振り掛けるなどして楽しめる。「ほお葉塩」は100g入り800円(税込み)である。 「ほお葉塩」は、高市さんたちがこれから開発を考えている「能登の香り塩」の第一弾である。続いてシソなどを使った新商品の開発も検討している。 このように高市さんは、たえず地元・能登で作ったもの、獲れたものを材料にしたもので商品の開発をし、それを観光客をはじめ、インターネットの販売などの手段を駆使して全国に広めようと努力している。ややもすれば手っ取り早く作れ、売れるものをという方向に走りがちな傾向に歯止めをかけようと「自ら汗を流し、知恵を出し、土に触れて生きること」をモットーに、地道な地域興しに取り組んでいる。

夢一輪館の商品

 
能登の山野に自生するホオバの粉末と海洋深層水でつくった塩をブレンドした新商品「ほお葉塩」(北陸中日新聞)


《問合せ先》
(有)能登ワイン「夢一輪館」
〒928-0334 石川県鳳珠郡能登町当目28-1
TEL 0768-76-1552
FAX 0768-76-0300
E-mail notosoba@yanagida.ne.jp

営業時間 午前11時から夕方
定休日  月曜日(ただし祝祭日は営業)
夜間   予約営業(「能登尽くし」「そば尽くし」5名以上で3000円から)
交通機関 
<車で>      
・能登空港から7分      
・能登有料道路終点から15分      
・金沢市内から90分      
<空港利用>      
・羽田から70分(能登空港まで送迎)
   

●地域の概況

能登町は平成17年3月に旧能登町と旧内浦町に旧柳田村が合併して誕生した。柳田地区は能登半島の奥能登地方の中央部に位置し、周囲は海に面してない純山村である。
地区の産業は、農業と林業が主である。農業は地区内を流れる町野川と上町川の流域に開かれた平坦地で稲作を中心に、野菜、ジャガイモ、サツマイモなどの栽培が行われ、国営のパイロット事業もすすめられ、クリ園などが造成されている。管内の和牛繁殖育成センターで飼育された子ウシを農家に貸し付けるなど繁殖牛の飼育も増えている。近年、地元農家が中心となり、ブルーベリー研究会が組織された。そのメンバーが中心となり、地区に適合した作物としてブルーベリーが栽培され、特産品としての開発が進められ、ワインやジャムなどの加工品の生産がすすめられている。
一方、林業では、豊富な山林資源を利用し、用材、薪材、竹材、パルプ材、木炭などが産出されている。なかでも木炭の生産量は県内1位を占め、その良質さには定評がある。

珠州市内にあった廃屋を譲り受け、移築した「夢一輪館」。築後100年以上たっているが、雪にも風にもびくともしない。


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