農村文化情報

分類:果樹経営 都道府県:宮城県 団体名:なし
グループ名:伊藤正雄さん・あさみさん

五つ星作物・アセロラ
 
なし

いまや“健康”は、作物選びには欠かせないキーワード。国内ではまだ数少ないアセロラ生産者である亘理町の伊藤正雄さん・あさみさん夫妻に、健康果実・アセロラの魅力とその育て方、生かし方を尋ねた。

●事業の活動内容
   伊藤正雄さん・あさみさん夫妻は現在、水稲4割、アセロラ6割の経営に取り組んでいる。南国の果実「アセロラ」は、20aのビニールでハウス栽培されている。
アセロラは、開花するとピンク色から白に1日ごとに変化する。収穫するまで授粉作業は続く。授粉は霧吹きを使って行うが、手間のかかる作業だ。花びらが落下したところに実を着ける。生長は早く、ピンク色の花が咲き始めてから2ヵ月ほどで実は熟し、収穫できる。なお、繁殖は挿し木により、3年目から収穫できる。
 収穫は5月から11月ころまで年3回できる。授粉して着果するのは春だと100%、2回めの夏は湿気を嫌うため30〜40%、3回めの秋は70%。1回目の収穫の5〜6月が最盛期で、年間の生産量の約7割はこの時期にとれる。
 果実は直径2〜3cmで、サクランボを一回り大きくしたような色と形をしている。果肉は軟らかく、酸味はそれほど強くなく、リンゴに似た香りがする。また、アセロラには、ビタミンCが100g当たり170mgと、イチゴの20倍以上、レモンの10倍以上も含まれている。

●事業の開始時期、実施の理由・目的
 伊藤さん夫妻は、平成4年に農林水産省が新農業政策を発表し、水田所得の減少が予測される情勢のなかで、それまでの水稲+野菜の経営に限界を感じ、新規作物の導入を模索していた。6年3月、知人に頼んでブラジルからアセロラの苗を入手したが、寒さのために枯死したため、翌年6月に再度ブラジルから苗10本を入手した。これが伊藤夫妻のアセロラ栽培への挑戦のスタートだった。
 その後、平成9年に茨城県の栽培農家から苗を分けてもらい、ブラジルの苗と比較しながら、丈夫で収穫の多い苗を挿し木で殖やし、栽培面積を広げてきた。大きく飛躍したのは12年で、仲間2人を誘って、「逢隈(おおくま)第13施設園芸組合」を設立したときで、約2000uの大型ビニールハウスを建てた。

●事業の特色
 アセロラは、大西洋の西、カリブ海の島々が原産の熱帯果樹。樹高は2〜4m、生育の最適温度は15〜30℃で、降雨量の少ないところでの栽培に向く。
 東北地方でアセロラを栽培するには、ビニールハウスをとり入れ、温度管理をするのがポイント。気温が5℃以下になると木は枯死するので、冬季は最低温度を10℃に設定し、日中はつねに25〜30℃を保つようにしている。ハウス内には自動点火する暖房機を設置している。また、万一のトラブルに対処するため寝室につながるお知らせブザーや石油ストーブを備えている。一方、厚いときは、天窓から外気をとり入れて適温を保つようにしている。
 温度と並んで湿度も大敵。湿気対策として不織布カーテンを取り付け、ハウス内の環境を整えている。しかし、乾燥のしすぎもよくないため、天候と木の状態を見ながら水やりをするなど、水分管理にも配慮している。
 栽培とともに伊藤さん夫妻が力を入れているのが、アセロラの加工販売である。知名度が十分でなかったり、収穫が集中することもあって、すべての果実を生果出荷できなかった。そこで奥さんのあさみさんを中心に、アセロラ加工の試作が続けられた。そのさなかの平成12年、試作した『アセロラで酢』が地元の亘理(わたり)町の「伊達なわたり生き生き物づくり大賞」でグランプリを獲得した。アセロラに含まれているビタミンCは、熱や水には弱いが、酢を使えばそのまま保たれることに着目して開発したのが『アセロラで酢』だった。これに自信を得てあさみさんは、次のようなアセロラの加工品を開発し、販売に結び付けている。

<アセロラの加工品>
●アセロラで酢(氷砂糖)  500ml  1300円
●アセロラで酢(ハチ蜜)  500ml  1600円  
<作り方のポイント>
穀物酢に、生アセロラと氷砂糖、またはハチ蜜を入れ、3ヵ月以上漬けこむ。そのままでも、水で薄めて飲んでもよい。牛乳 やヨーグルトに加えたり、焼酎や果実酒、炭酸で割ったりしてもおいしい。酢の物やドレッシングなどにも利用できる。

●アセロラジャム       200g   2000円  
<作り方のポイント>
完熟した生アセロラの種を取り除き、アセロラ1Kg対して3割のグラニュー糖を加え、強火で一気に煮詰める。最後に保存、殺菌効果のある『アセロラで酢』を加える。

●アセロラ冷凍ピューレ   180g   2000円/800g  10000円
<作り方のポイント>
完熟した生アセロラの種を取り除き、裏ごししてすぐに冷凍する。800g入りは、おもにホテルなどの業務用として販路を開拓。

●アセロラで酢 漬け物   500g   500円
<作り方のポイント>
旬の無農薬野菜を、アセロラを搾ったかすを使って漬けこむ。

●活動の成果、今後の事業展開計画
 東北地方という厳しい気候条件のなかでの熱帯果樹・アセロラの栽培。当初10本の苗木からスタートした伊藤家のアセロラ栽培も10年目を迎えた。平成12年には、仲間2人とともに施設園芸組合を立ち上げるとともに、施設面でも約2000uの大型ビニールハウスを建てるなど、順調な経営の伸びをみせている。
 収穫した果実は、県都の仙台市場をはじめとして、東京の大田市場(「東一」)、築地市場へも出荷している。アセロラの実は1個8〜10gで、1パックに10粒ほどを詰め、価格は500円である。伊藤さんは年間8000パックを出荷している。このように経営規模が大きくなるにつれ、栽培管理で3人、加工で2人のパートを雇っている。
 販売面では、加工が5年目を迎えて軌道に乗り始めたこともあり、これまでのJAみやぎ亘理の直売店、スーパーなどの販売に加えて、さらにアセロラの知名度を高めるための努力を続けてきた。その一つが各地のイベントでの宣伝販売である。あわせて、口コミによる宅配の顧客の確保にも力を入れている。

 
   
《問合せ先》
亘理アセロラ園
〒989-2324
宮城県亘理郡亘理町逢隈高屋字前原66
TEL 0223-35-3819

●地域の概況
 亘理町は、宮城県の南東部に位置し、阿武隈川の河口南側、角田市の東に続き太平洋に面する町である。
 主な産業は農業で、稲作のほかイチゴをはじめとする野菜栽培が盛んで、そのほかリンゴの生産量も多い。
 町の中心の亘理地方は、江戸時代には陸前浜街道(現国道6号線)から仙台城に達する要駅とされ、武家屋敷が集中していた。明治維新の後、武士は北海道へ新天地を求めて渡り、伊達市を開いた。
 一方、阿武隈川河口の荒浜地区は、江戸時代、阿武隈川舟運の基点だった。各地からの物資の集積でにぎわい、江戸廻米の基地として、石巻と並び仙台藩の二大港として有名だった。


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