協同組合人物略伝 【国外
 
サン−シモンSaint‐Simon, Claude Henri de Rouvroy
(1760〜1825)フランスの生んだ社会主義者で,その思想はサン‐シモン主義と呼ばれる一種の空想的社会主義であるが,フランスの近代思想に大きな影響を与え,その流れはコント(Comte, A. 1798〜1857,フランスの哲学者)の実証主義的社会学に実を結んでいるといわれる。パリに生まれ,波乱に富んだ生涯を送った。16歳で軍隊に入り,アメリカ独立戦争に義勇兵として参加し,恐怖時代のフランスに帰国後はリュクサンブールの監獄にも入った。釈放されると,土地のブローカーで大金をもうけたが,事業に失敗してその財を失い,逆境のうちにパリで死んだ。彼は多作の文筆家で,フランス革命に反対すると同時にナポレオンのミリタリズム(軍国主義)にも反対し,産業主義と科学の力による社会の改造を期して,社会の精神的指導者は中世紀的な教会ではなく科学者である,とした。また,戦争のない理想的な社会は,有能な科学者や産業資本家が生産的な労働力を組織化して,人間の生活に有用な生産をすることにある,とした。彼は,資本と労働の対立をいうより,貧乏な労働者の向上は上からの救済によるべきだ,とした。そこには社会主義思想の萌芽がみられ,いわゆるサン‐シモン主義の亜流を生んだ。彼によると,現代の社会は産業資本家が無産者を利用し搾取しているが,これを改善して新社会を建設するには,すべての生産手段を社会的資本として統合し,社会つまり彼のいう組合がこれを管理し,運営する。そして財産の相続は禁止して国に帰属すべきもの,とした。そこに一種の生産組合的な協同精神の萌芽が認められる。主著:Du syste`me industriel(産業制度論),Le nouveau christianisme(新キリスト教),Cate´chisme des industriels(産業主義の教理)。


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