協同組合人物略伝 【国外
 
カウフマンKaufmann, Heinrich
(1864〜1928)1880年代以降,ドイツで自助の原則に基づくドイツ産業および経済協同組合総連合の内部において,信用組合,原料購買組合,販売組合などの手工業協同組合と消費組合との対立が顕著になってきた時代に,両者の融合調整を図りつつ,新しい消費組合の指導者として登場したのがカウフマンである。雑貨店兼宿屋の子として生まれたが,幼い彼の天稟の才を認めた両親と教師は,教職につけようとして師範学校に入学させた。卒業後,小学校,つづいて私立学校の教壇に立ち,そのかたわら労働者養成組合で講義したが,その後,教職を捨てて民衆新聞の地方編集長となり,成功をおさめた。以前から協同組合制度について研究していた彼は,このころから消費組合に参加し,その指導力によって労働者の間に大きな宣伝効果をあげた。その後,彼は有限責任ドイツ大購買消費組合に移り,その週報を専門誌に変えて編集を担当した。この雑誌により総連合の保守的勢力と進歩的消費組合の見解を明確にさせたのは,彼の功績である。1902年に至り,クロイツナッハの協同組合会議で,総連合の多数派によって多くの消費組合が総連合から除名された。このため消費組合は徐々に総連合から離れ,1903年,ドイツ消費組合中央連合(新連合)が設立されるに至った。このとき彼はすばらしい演説を行い,新しい運動における指導権を確立して新連合の事務局長となり,すぐれた組織力を実証した。一方,彼は監査制度の完成に努力するとともに,とくにジャーナリズムの分野で活躍した。そして彼の指導のもとで,ドイツ消費組合の組織と事業は順調に発展した。人々の不安と苦悩とをだれよりもよく把握し,労働者の心情をとらえ,現実主義と理想主義のみごとな統一のもとで,人々の要求を満たし,ドイツ消費組合の発展にきわめて大きな貢献をした。主著:Die Stellungnahme der Sozialdemokratie zur Konsumgenossenschaftsbewegung(消費組合に対する社会民主主義の意見)。(矢吹 寿)


戻る