| (1847〜1932))フランス消費組合運動の理論家として,また国際協同組合運動史上においても,思想的に不滅の足跡を残している。同時に,19世紀から20世紀初期のフランス経済学者として独自の立場をもっている。彼はパリ大学の法科に学び,ここで経済学を研究した。はじめにボルドー大学の経済学教授となり,ついでモンペリエ大学で,1898年から1920年までは母校のパリ大学で経済学教授となっている。主著『経済学原論』(Principes
d’e´conomie
politique)は1884年に初版を出して経済学の入門書として広く各国で読まれた。また1920年に出版されたリスト(Rist, C.
1874〜1955,仏)との共著『経済学説史』(Histoire des doctrines
e´conomiques)も学界に大きな反響を呼んだ。ジードの経済学原理は,人間の経済活動における消費を重視し,消費組合運動を高くとりあげている。そして彼は余暇とエネルギーをフランスの消費組合運動にささげた。これはフランスの消費組合運動がフーリエ(別項)やサン‐シモン(別項)の空想的社会主義の思想的影響下にあった初期の時代から,社会主義とは決別して独自の消費組合運動として展開されるに至った時期であった。この組合運動のいわばリバイバルは,彼と有能な組合指導者であるボアブ(別項)が南仏のニームにおいて組合運動の刷新にのりだしたからであった。ここにニーム学派(e´cole
de
Nimes)と呼ばれている中立主義的な協同組合思想が生まれてきた。その後このニーム学派とイギリスの消費組合運動の影響を受けたフランスの消費組合運動が,中立主義とロッチデール精神を受け継いで統一されるに至ったのは,彼の理論的指導があったからだといえよう。彼はまた国際関係の調和と平和のためにたゆみない努力を傾け,とくに国際的協同組合運動の促進と,労働者の協力を提唱し,国際協同組合同盟(ICA)の初期に活躍したことも特記される。主著:前記『経済学原論』『経済学説史』のほかに,Les
socie´te´s cooperatives de consommation(消費組合論),Formation et e´volution de
la notion du juste
prix(公正価格の観念の成立と発展)。(大熊良一) |