| (1882〜1973) アメリカの南カリフォルニア大学教授で「社会的距離」の理論などで知られる世界的な社会学者であるが,その生涯を通じて協同組合運動に深い関心を示した。彼の協同組合理論の特色は,経済学者の理論に欠如しがちな協同組合の人間的,組織的側面を社会学的な視点からみごとにとらえ,それを理論的に体系化した点にある。彼はまず協同組合以前の共同一般に目を向け,「生の根本原理」としての共同を,つぎのように微生物から人類社会に至る発展の5段階に分類した。@反射的共同(reflex),A本能的共同(instinctive),B生存を維持するための共同(survival),C競争に勝つための共同(gettingahead),D社会全体の善をめざす利他的共同(otherscentered)。現代社会で最も発達している第4段階の共同では集団利己心と閉鎖性が不可避で,これを乗り越えた第5段階こそ人類が到達しうる共同の最高段階であり,この段階を目標とし,しかもその実現にある程度成功しているのが協同組合運動にほかならない,というのである。彼はまたロッチデールの先駆者たちの業績と,そこから生まれた協同組合原則とをきわめて高く評価している。そしてこの実践的な運営指針である諸原則の根底を流れてこれを支えている協同の哲学を探求し,それを原則よりいちだんと高い次元で,つぎの7原理として体系化した。@民主主義,A自発性,B自治,C公正,D相互性,E普遍性,F進化的発展,というこの7原理は,アメリカ,カナダおよびその影響を受けた発展途上国では国際協同組合同盟(ICA)の協同組合原則に劣らず広く知られている。ボガーダスの5段階説と7原理は,これまで常識論と観念論にゆだねられていた協同組合理念の探求に,確かな科学的視点を提供するものである。主著:Principles
of Cooperation(協同組合運動の原理),History of Cooperation(協同組合運動の歴史),Problems of
Cooperation(協同組合運動の諸問題),Dictionary of
Cooperation(協同組合辞典)。(藤沢光治) |