協同組合人物略伝 【国外
 
バールリンBallin, Nikolai Petrovichi
(1829〜1904) ロシア・ウクライナ(現ソビエト)の初期協同組合運動の先駆的理論家であり実践家である。ロシア人官吏の家に生まれ,法律学校を卒業後,元老院の地方事務局書記としてウクライナのハリコフに勤務し,民衆啓蒙活動にたずさわっていたが,1860年代半ばから,この地域の進歩的インテリゲンチアが組織した協同組合運動に参加し,その普及に専念した。1869年,協同組合運動視察のため,ドイツ,フランス,イギリスなどを訪れた際,折からロンドンで開催されていた第1回イギリス協同組合全国大会にロシア・ウクライナの代表として出席した。彼はとりわけイギリスの協同組合運動に感銘を受け,その指導者たちと交流し,ロッチデール方式の協同組合をロシア・ウクライナに普及させようと努めた。1870年にハリコフで協同組合の全国的な大会を開催しようと企画したが,政府の圧力によって実現しなかった。協同組合の運営の面でも内部対立などで行き詰まったが,彼は引き続き各種協同組合関係の文献の執筆や翻訳をしながら協同組合思想の普及に努めた。イギリスの協同組合機関誌には,バールリンがハリコフから送った手紙がたびたび掲載されて,ロシア・ウクライナの協同組合運動の実情を伝えている。このように,彼は国際協同組合運動との連携によって,ロシアの協同組合運動を振興させようと考えた先駆者であった。その晩年には国家社会主義政府と,その援助による協同組合の全国的組織化というロシア独自の運動を構想している。彼はロシアの初期協同組合運動の精神を鼓舞した「協同組合の抒情詩人」(トトミヤンツ)と呼ばれている。
主著:Pervaya pamyatnaya knizhska russkikh potrebitel’nuikh kooperativov(ロシア協同組合の最初の記念小冊子),The Social Life and Co‐operative Ideas in Russia(ロシアにおける社会生活と協同組合思想)。(今井義夫)


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