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農業ウェブ講座
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第24回

1枚のためにとことん写す

 
じょうろ編
 
 


 
 

Webに載せるから消してあるけれど、デジカメ写真にはExif(エクジフ)という撮影情報が書き込まれている。何年何月何日何時何分に、どんなカメラにどんなレンズをつけて、そのときの焦点距離はいくつで絞りはナンボでシャッタースピードはナンボなどなどということのすべてがわかるのだ。

どうやればわかるのかを解説してる時間がないので省略するけど、とにかく書いてある。

1枚めの写真を撮影したのは、10時53分48秒、7枚めを撮影したのは、同55分33秒。つまり2分で7枚撮影したわけだ。

このとき写真のおばあちゃん、
「早くしなさい。じょうろの水がなくなる」
と大騒ぎであった。

ワイドレンズで低い位置から撮影しているのは、おばあちゃんの顔を写したかったから。
立って写すと帽子でおばあちゃんの顔がすっかり隠れてしまう。

上の段の4枚はおばあちゃんまで約5mくらい。で、下の段の3枚はおばあちゃんまで1m以下。
カメラを構えたまま、つつーとおばあちゃんまで近づくのだ。
仲よしになっておかないと、近寄ると逃げられる。

 
     

表情はくるくる変るのだ
 

 







 

身内の写真というのは写すほうも写されるほうも、おたがいにテレがあるのでなかなか撮影しにくいものだ。他人のほうがいい写真が撮れることもある。

人物撮影のコツはとにかく仲よくなることで、つねになんかしゃべっていること。しゃべる内容はなんでもいい。
「暑くない?」
「今日の昼ご飯はなに?」
「夕べの雨はひどかったねえ」
「社会主義ってどうだった?」
などと話しかける。

で、この写真の取材地は極東ロシアの昔は罪人の流刑地であり、ちょっと前までは冷戦構造の最前線の地。
とはいえ、かつては日本でもあったわけで。
しかし、ここサハリン州ユジノサハリンスクでは日本語はもちろん、英語もまったく通じない。
しかし、花の名前は万国共通であることに気がついて、「エリンジウム? ルピナス?」などといい始めてから、おばあちゃんの表情が変わった。
通訳に雇った元KGB少佐は、花の名前なんか通訳できないよとこぼしていたけれど。

いずれにしても、とにかく話しかけて、てきぱきと撮影することが肝心。ちなみに、この8枚を撮影するのに、3分かかっていない。

 
     

とことん写すといいことがあるか?
 

 

 

 

 













 

さていよいよ最後である。
2年間もやらせていただくと名残惜しいなあ。
この32枚の写真、先ほども書いたけれど撮影開始は10時53分48秒、32枚めは、11時05分44秒。
つまり約12分ほどで32枚撮影したことになる。
と、じつは違うのだ。
カメラがもう1台ある。花の撮影用にと105mmのマクロレンズ(接写用のレンズ)をつけっぱなしにしているのだ。このレンズはおばあちゃんの顔のクローズアップとか、作業をしている手元のクローズアップとかも撮る。

おばあちゃんのクローズアップなんか見たくないという向きもあろうが、サハリンまで出かけているのである。ありとあらゆる写真を撮影しておかなければ、そうおいそれと撮り直しなどできないのだ。
ちなみに、ロシアに入国するにはビザが必要。さらに、バウチャーというつまりは宿泊先やら移動交通機関の予約証明書まで必要。サハリンの場合、これを取得するのに2週間以上かかる。

だから、そのマクロレンズで撮影した分41枚を加えると、12分で73枚撮影したことになる。
10秒に1枚の割合になる。

ふつうのコンパクトタイプのデジカメはカードに書き込むのに時間がかかる機種もあって、次のシャッターが切れるまでイライラしながら待つこともある。
コンパクトデジカメ(コンデジなどと略すことも多い)にはおのずと限界があって、それは以前も解説したように、「小学生がふたりいる、4人家族の記念写真用」というのを想定して作られている。
だから、ちょっと深く突っ込んで使おうと思うと、あっという間に物足りなくなるわけだ。

農業情報の根幹を成すのはいまや写真である。
うまいものはうまそうに写っていないといけないし、ダイナミックな農作業はダイナミックに写っていないといけない。なにより、生き生きと農家が仕事をしているのだから、生き生きとした農家の顔がどんどん出ていないといけない。

恥ずかしがっちゃいけない。
写真がうまくなろうと思うのであれば、恥ずかしいという気持ちを一時忘れることだ。
がんがんかっこいい写真を写して、どんどんWebに掲載していただきたい。

2年の長きにわたっておつきあいいただきありがとうございました。楽しい時間を過ごさせていただきました。言いすぎたこと、よけいなこともたくさんありました。
気分を害された方にはお詫びいたします。

みなさん、どうもありがとう!

2006年10月  冨田きよむ

 
     
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