早場米の田植えを控えた3月下旬、大隅半島を流れる串良川に、手作りの取水堰が作られる。地元の農家が近くの山からマテバシイという木の枝を切り出し、それを束にして水を堰きとめるのだ。水は農業用水路を通り水田を潤す。また、柴の隙間から水が漏れ出るため、下流域にも一定量の水を送りだすことができる。水を独占しないための先人の知恵だ。柴井堰は、地域資源を使った安価で合理的な取水技術なのだ。
だが、約1世紀の歴史をもつこの伝統技術も、地域の高齢化によって、担い手がどんどん減っている。地元ではコンクリート製可動堰の建設も検討されているというが、はたして……。今年も、胴付き長靴を身につけた男たちが岸辺に集まってきた。
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